印刷インクの種類について

目次

印刷インキとは

印刷に使用出来るインキは、今では非常に多く、その原料でさえ、数は1万に近いといわれています。もちろん原料によってインキの特性も発色も様々ですが、インキ自体の構造は大きく別けて顔料(原料)・ワニス(ビヒクル)・添加物の3つの要素から成っています。
顔料は印刷物の色の再現性に重要な役割を果たし、ワニスは天然樹脂、合成樹脂等を溶剤に溶かしたもので、顔料を分散し印刷素材に転移、固着させる役割を果たします。添加剤は乾燥性や流動性等、印刷の適性や効果を調整する働きがあります。

印刷インキの種類

凸版、凹版、平版、孔版等、印刷には様々な方式があり、それぞれに対応したインキが必要となります。版式による分類では、凸版インキ、平版インキ、スクリーンインキなどに大別されていき、さらに溶剤や乾燥硬化方式による分類から水性インキや熱乾燥インキなどに分けられていきます。そして、その他にも様々な特殊インキが存在します。
ここでは、代表的なインキと幾つかの特殊インキを紹介させて頂きます。

アマニ油型インキ亜麻仁油ワニスをビヒクルとするインキです。樹脂型インキが開発されたあとはほとんど使用されなくなっています。
オフセット輪転用インキオフセット輪転印刷の高速印刷に対応するため、短時間でインキを乾燥させる低沸点溶剤を用いたヒートセットインキです。
オプティカルセキュリティインキ見る角度によりラベルの色調が連続的に変化して見えるインキです。

疑似エッチングインキ金属板やホイル紙に印刷することにより、目の錯覚により金属をエッチングしたのと同じような表面効果を得るUVマットクリアーインキです。
エッチング加工よりも安価でできます。
機能性インキ物理的・化学的機能、表面加飾機能などを特別に付与されたインキの総称です。
グラビア用インキグラビア印刷に用いる溶剤蒸発乾燥型インキです。環境等の問題でトルエンを使用しないものや、水性インキがありますが、主流は油性インキとなっています。
グロスインキ通常のインキよりも光沢を重視したインキです。
蛍光インキ有機染料を樹脂に練込んだものを粉砕して作った蛍光顔料を用いたインキです。鮮やかな色調で発色しますが、耐光性はよくありません。
結晶化模様インキちぢみ模様インキとも呼ばれ、熱硬化性の樹脂をインキ化したものです。焼き付け乾燥後インキ表面に不規則なしわをつくり、透明な結晶状模様のひび割れが生じさせた、表面加飾用のインキです。
示温インキ変色するサーモクロミック物質をマイクロカプセル化したもので、特定の温度帯で変色をくり返す可逆性のインキです。
紫外線硬化型インキ一般にはUVインキと呼ばれ、紫外線の照射により瞬時に硬化し乾燥するインキです。主に食品のパッケージ容器やプラスチック素材などへの印刷に使用されます。
シルクスクリーン用インキシルクスクリーン印刷に使用するためのインキです。従来は、溶剤型インキでしたが、近年では環境面、作業効率面からUV硬化型インキの需要が増加しつつあります。
新聞インキ短時間に印刷しなければならない新聞は、浸透乾燥方式のインキを使用する必要があります。新聞インキは、成分の中にある溶剤を紙に浸透させ、着色顔料を含んだ樹脂だけを紙の表面に留まらせ定着させます。
水性絵の具インキ水可溶性インキとも呼ばれます。印刷表面を水で濡らすことで色が溶け出し、染色できるインキです。
スクラッチインキくじ等に使用する隠し文字用の銀インキです。後で擦り取れるように、シンナーや石油を含まない溶剤を使用しており、ここに透明インキとシルバーの粉末を混ぜて隠蔽性をもたせています。
大豆油インキ環境の保護のため石油系溶剤に代わり、大豆油を利用した環境対応型インキです。一般インキと比べると若干乾燥が遅いです。
蓄光インキ太陽や電灯などの光線を吸収・蓄積し、
これを徐々に放出させて発光するインキです。
光エネルギーを蓄える性質をもつ顔料を
練りこんであるため、光を蓄えて暗がりで発光します。
特練りインキプロセスカラーでは賄えない中間色を調色し、CCM等でインキ配合した指定インキです。OSPでは特色インキと呼んでいます。
凸版インキ凸版印刷に用いられるインキ。樹脂型インキとアマニ油型インキがあり、凸版の版面から直接、印刷素材に転移される方式に使われるます。

パールインキインキの中に、可視光線をスペクトルに分ける効果をもつパール粉という反射粉末が練りこまれおり、角度によって七色に変化するインキです。
ヒートセットインキ平版、凸版の高速輪転印刷用に用いられるインキです。加熱によりインキ中の溶剤が蒸発し、瞬時に乾燥します。高速印刷での乾燥をよくするため、低沸点溶剤用いる場合が多いです。
筆記用インキ印刷面に鉛筆やボールペン等で書き込みができるように工夫されたインキです。遮光性に優れ、濃い色を使用しても色相・光沢の変化はありません。
フォトクロミックインキ紫外線に反応して発色するインキです。発色するフォトクロミック物質をマイクロカプセル化し、インキの中に練り込んだ物です。
日焼け止め製品等の販促に使用されています。
フレキソインキフレキソ印刷に用いる速乾性インキです。ゴム凸版インキ、樹脂凸版インキともいい、ダンボール用途が多く、主に水性インキやグリコールインキが用いられます。
プロセスインキC(藍版)、M(紅版)、Y(黄版)、K(墨版)4色刷により、様々な色再現が可能な組み合わせのインキです。

マイナスイオンインキトルマリン鉱石をインキに混ぜることによりマイナスイオンを発生させるインキです。
枚葉インキ酸化重合型の乾燥方式をとる枚葉印刷用に使用されるインキです。カタログやポスター等、品質要求の高い物が多く、光沢・網点の再現性に優れています。
マットインキ印刷仕上がり面に光沢がでない印刷インキです。光沢のない落ち着いた仕上がりが要求される印刷物等に使用されます。
ミラクルカラーインキ見る角度により色が変化するメタリックインキです。耐候性に優れ、独特な色彩感、高級感を演出できます。
盛り上げ用インキバーコ印刷とも呼ばれ、UV硬化型の厚盛インキ。インキが乾かないうちに熱によって膨らむパウダーを振りかけ、加熱することで必要な部分が溶解、膨張し立体的な印刷物に仕上がります。
参考:OSP